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「待って!
半沢範子さん、あなたの憎しみはよくわかるわ!
だから立ち止まって!
私は、私の話をあなたに聞いて欲しい。
どうか、お願いだから……」
久美子は立ち上がり、みんなの前で両手を広げ、おかっぱ少女の行く手を阻んだ。
〈 久美子さん、止めて!
そんなことしたら、あなた、死んでしまうわ! 〉
美智子は心の中でそう叫び、目を見開いて、久美子の背中を見つめていた。
「久美子、止めろ!」
「そいつに逆らうな!
オレたちは、逃げるしかないんだ!」
章と健太の叫び声が、校舎の廊下に響き渡った。
「半沢範子さん、イジメに苦しんだのは、あなただけじゃないのよ!
私もあなたと同じなの!
だから、私の話を聞いて欲しいの」
おかっぱ少女は、走る勢いを緩めずに、久美子に向かって突っ込んできた。
〈 ダメ、久美子さんが殺される! 〉
美智子はそう思って、ありったけの声で悲鳴を上げた。
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