29 リュカとルネ

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俺と再会したときの反応から、もしかしたら俺を選ぶかもしれないとも思ったが……やはり、そううまくはいかなかったな」  伊波は、自嘲するように唇を歪め、 「――もう、ここには来ない方がいい」  しばらくして、いきなりそんなことを言った。 「それだけじゃない。家に帰ったら、おまえの携帯や、北城のオフィスの電話から、すぐに俺の番号を消すんだ」 「え? なんで急にそんなこと……」 「俺たちの戦いは終わった。ということは、これからそのことに関する記憶はどんどん薄れていくはずだ。おまえが、自分のまわりから俺に関わるものを全て消せば、そのうちにおまえも北城も、俺の存在そのものを忘れる」 「伊波のことを……忘れる?」
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