12人が本棚に入れています
本棚に追加
オレは思わずイスから立ち上がった。
「どうしてオレたちが、伊波のことを忘れなきゃいけないんだよ!」
「おまえは結局、俺を選ばなかった。その上で、これ以上中途半端なつきあいを続けるつもりはない」
「そんな……」
恋人ではないけれど、それでも、オレにとって伊波が大切な存在であることに変わりはない。
全部忘れてしまうということは、最初から出会わなかったのと同じだ。
自分の中から、伊波に関わるすべての思い出が消えてしまう。そう考えるとゾッとしたし、絶対にイヤだった。
だけど。伊波の気持ちを思うと、オレはそれ以上何も言うことができなかった。
最初のコメントを投稿しよう!