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「話はこれで終わりだ。家に帰ったら、すぐに俺の番号を消せ」
伊波の態度はあくまでもそっけなかった。でも、そのそっけない態度の裏で、これまでもいつだってオレのことを心配し、見守っていてくれたのだ。
そう思うと――大量の涙が、一気にぶわっとこみ上げてきて止まらなくなった。
その涙を見られたくなくて、オレはあわててドアの方を向いた。
「じゃ……オレ、帰るから……」
本当は、最後にもっとちゃんとした別れの言葉を言いたかったのに、震えたみっともない声でそれだけ言うのがやっとだった。
何だか最近、涙腺がすっかりゆるくなってしまったような気がする。
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