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この戦いが始まる前──というより、慧や伊波と会う前は、こんなにしょっちゅう人前で泣いたりすることはなかったのに。
そのまま、ふらふらとドアの方へ歩いていこうとしたが、
「最後にもう一つだけ、言っておくことがある」
伊波のその言葉に足を止めた。
「おまえは、できるだけ早く北城と一緒に暮らした方がいい」
「……?」
鼻水をすすりながら、なんでそんなことを言い出すんだろうと思っていると、
「このまま記憶がなくなっていけば、おまえと北城は、ただのバイトと雇い主の関係になってしまいかねないからな」
伊波は、そんな衝撃的な言葉を口にした。
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