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「えっ。それってどういう――」
思わず、涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま振り向いてしまう。
「考えてもみろ。おまえたちはつきあっているとは言っても、それを証明するものは何もない。たとえばおまえの両親のように、『結婚』という形で社会的にもはっきりと認められていれば、戦いの記憶はなくなっても、結婚している事実はなくなるわけじゃない。だが、おまえたちは違う。そういうものが何もない状態のまま、記憶が薄れていったらどうなるか――」
「そんな……」
それを聞いたとたん、急に怖くなってきた。
「忘れるのは、戦いに関係あることだけだと思ってたのに」
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