30 いつかの想い

8/17
前へ
/29ページ
次へ
 たとえば新婚カップルの部屋みたいに、歯ブラシやコップをペアにしたり、ハートのクッションを置いたり、そういうふうにすればいいんだろうか。  慧とそんな部屋で暮らすことを想像して、オレは赤くなった。 「万一のことがあってからでは遅いから、一応言っておいたが。でも、おまえと北城ならきっと大丈夫だ」 「伊波……」 「俺とも、別に永遠に会えなくなるというわけじゃない。年月がたって、また餓鬼や悪鬼が現れれば、俺たちは嫌でも顔を合わせることになるからな」  それを聞いて、ほんのちょっとだけ気が楽になった。  確かに、オレ――中川奏太と、伊波祐二という存在でいる間は、オレたちはもう会えないのかもしれない。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加