30 いつかの想い

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 慧がもっと嫉妬深かったら、その辺を突っ込んで聞いてきたかもしれないが、慧は、オレが言いたがらないことをしつこく聞き出そうとするようなタイプじゃなかった。  だから――慧にはちょっと申し訳ないというか、後ろめたいような気持ちもあったが。  今日病院であったことを慧に詳しく話すのは、慧にとっても、オレにとっても……そして伊波にとってもあんまりいいことじゃないような気がしたので。それは自分だけの胸にしまっておくことにした。  そして。  オレたちにはフツーの日常が戻ってきたが……何もかもが元通り、というわけにはいかなかった。  いくつかの変化の中で一番最初に気がついたのは、慧の体のことだった。
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