30 いつかの想い

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 そんなとき、いつもなら慧は大丈夫だとか大したことないとか言うんだけど、今日はそんな余裕もないみたいだった。  ベッドに仰向けになると、慧は目の上で両手を重ねるようにして、 「俺……最近、体が普通になってきたみたいなんです」  ぽつりとそんなことを言った。 「普通って?」 「今までは、戦っているときはもちろん、仕事や、それ以外のことをしているときでも、少しくらい無理をしても、あまり疲れるということがなかったんですが――だんだん無理がきかなくなってきた気がするんです」 「それって、もしかして……」  オレはふと気がついた。 「戦いが終わっていらなくなるのは記憶だけじゃなくて、『ディシオンの力』もってこと?」
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