30 いつかの想い

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 肩をぽんぽんとかるく叩くと、慧は目の上に乗せていた両手を外し、やっと少しだけ笑顔を見せた。  ……そう言えば、これも前に有村さんに言われた気がするんだけど。これからは慧に守ってもらうだけじゃなくて、オレも慧の力になりたい。  今までもそうしなきゃそうしなきゃと思ってはいたんだけど──慧と一緒にいるといつもついつい甘えたくなってしまって。  でも今年はもう20歳になるんだし、本当の意味で、もっと大人にならなきゃなと思った。  そんなことを考えながら、オレは慧が眠ってしまうまで、そのそばに寄り添っていた。 緋色の祈り19に続く
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