29 リュカとルネ

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「だが……前世で、特に子供の頃は、そのことで孤独を感じていたのも確かだ。同じ年頃の子供たちは俺のことを遠巻きに見ているだけで、一緒に遊ぶなんていうことは一切なかったからな。まあ、それには、大声でわめきちらしながら走り回っている同い年の連中が、俺にはあまりにもガキっぽく見えて、こっちから距離を置いていたせいもあるが。両親は両親で、俺を一人前のハドラスに育てることだけを考えていて……俺は両親とも、普通の親子らしく過ごしたことはなかった」  伊波は肩をすくめた。 「気の休まる暇は、ほとんどといっていいほどなかったが……ルネと一緒にいるときだけ、俺は、自分が普通の子供に戻れたような気がした。俺とルネは、物心がついた頃から、もう自分たちが婚約者であることを聞かされていて、お互いの家をよく行き来していたんだ。
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