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おまえは、決して何も考えていないわけじゃない。昔も――今もな」
「え」
今まではルネだけの話だったのが、オレ自身のことにもなってきたので、思わずハッと顔を上げた。
「ルネが、親に決められた結婚をどう思っていたのか……正直俺にはわからない。あいつにはあいつなりの考えがあったはずだが、ルネはそれを誰にも言わなかった。ルネにはわかっていたんだ。自分が思うとおりにふるまえば、村に争いが起きるということを」
「……争い?」
「俺とルネの婚約は衆知の事実だったが、それでも何とかして、自分の子供をハドラスと結婚させようとする者も少なくなかった。ハドラスとのつながりができれば、その家は、村の中でも何かと優遇されることになるからな。
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