29 リュカとルネ

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ルネとルネの父親の血は、ソーリアの中でも、特に敵を倒す力が強かった。だから、俺との婚約を、表立って反対する者はいなかったが……もし、ルネが俺との婚約を解消すれば、その後には必ず大きな争いが起きる。そんな状態では、皆で力を合わせて餓鬼や悪鬼を倒すのが難しくなる。それを考えて――たぶん、ルネは何も言わずに、親やまわりの者の言うことに従っていたんだと思う」 「……」 「おまえは、いつもそうだった」  伊波は、ふっと短く息をついた。 「ルネだったときも、それ以前もだ。自分のことよりもまわりのことを考えて、あえて自分の意見を持たないようにしていた――というか、自分の気持ちを、わざと深く考えないようにしていたんだ。おまえが、転生するたびに違う相手と一緒になったのもその結果だ」
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