29 リュカとルネ

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「……」 「ルネと一緒になる前から……俺はずっと思っていた。ルネには、他に好きな相手がいるんじゃないかとな。それが誰なのかは、今さら俺が言うまでもなく、おまえ自身が一番よくわかっているだろうが――でも結局、ルネは何も言わずに俺と暮らすことを選んだ。俺もルネを失いたくなかったから、そのことには一切触れなかった。ときどきルネは、誰かの姿を探すように、窓から森の奥の方を眺めていたが……俺はそれを、ただ黙って見ているしかなかった」  オレはそれを聞いて……やっぱりオレって、いつの時代でもダメなんだなぁと思った。  オレには部分的にしか前世の記憶がないから、ルネだったときに、自分が何を考えていたのかはわからない。  でも、もし、全部伊波の言うとおりだったとしたら。
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