第1章

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告白の練習台になって下さい。そうお願いしたら先生は引き受けてくれた。誰もいない教室で先生と二人きり。私は黒板の前に立った。 「いきます」 「おう」 好きです。 「……好きです」 先生が大好きです。 「大好きです……ずっと前から……貴方の事が……」 「いい感じだぞ、森田」 「……そうですか?」 「おう。俺だったら即OKだ」 ……鈍感。 「……先生の時は、どっちから告白したんですか?」 「そんな恥ずかしい事を訊くなよ」 「これで最後だから……教えて下さい」 「まぁ……先生からだ」 照れ臭そうに頬を掻く先生の左手で指輪が光った。先月結婚したばかりの先生は本当に幸せそうで、指輪を見る度に涙が出てくる。 「いいなぁ……私も告白されたかったな……」 「森田ならきっと大丈夫だ。頑張れよ、告白」 「はい、頑張ります。先生、3年間有難うございました」 「ああ。卒業おめでとう」 さようなら……私の片想い。
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