お守りの石

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 あれから二十年近くが経ち、天涯孤独になったけれど、それでもどうにか私は生きている。手にしていたおかげで唯一焼け残ったお守り袋も、おばあちゃんの…いや、家族のたった一つの形見として、肌身離さず持っている。  そのお守りの、古ぼけた袋の中から時折中身を取り出して眺める。  いつか、私が大人になってからくれると言ってくれたお守り。でもあの時には『今はまだダメ』と言われたお守り。  もしかしたら、これを勝手に持ってきてしまったから、あの火事は起こったんじゃないだろうか。  本来、順繰りにおばあちゃんからお母さん、お母さんから私に受け継がれていくものを、勝手に私が持ち出してしまった。だから、このお守りに取って代が替わったということで、おばあちゃんもお母さんも…おじいちゃんとお父さんもこの世からいなくなってしまったんじゃないだろうか。  認めたくはないけれど、なんだかいつもそう思ってしまう考え。  それを頭の中に渦巻かせながらお守りの本体である石を見る。その時には必ず石は、いつもよりどす黒い赤色に光るのだ。 お守りの石…完
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