第1章

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俺は学校が嫌いだった。 理由は色々ある。閉鎖された空間で何が悲しくて息が詰まる思いをしながらコミュニケーションを取らなきゃならないのかとか、団体行動を強制する年間行事が苦痛だからとか、イジメられるのも、イジメを見て見ぬ振りをするのも、イジメないとお前もイジメるぞと無言の圧力をかけて共犯に引き込もうとするのも嫌だからとか、勉強が嫌だからとか、とにかく色々だ。 やっと卒業できると安心して迎えたこの日、担任がふざけた事を云った。1人1人前に出て、これからの抱負を云えとかいう。 最悪だ。 ウンザリして順番を待っていたら、クラス委員の佐藤の番になった。 明るくて前向きで成績優秀で、優等生の鏡みたいな奴だ。さぞかし感動的な台詞を言うに違いない。佐藤は黒板の前に立つと、零れた涙を拭って、言った。 「私の抱負は、総理大臣になって、日本中の学校を全部無くすことです」 必ずお前に投票する。ガンバレ。
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