離れて近づいて

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A「・・・グスッ」 B「・・・気持はわかるけど・・・いい加減泣き止めって」 卒業式が終わり、静かになった放課後の教室。 クラスには私と、去年からの男友達だけ。 多くの人は既に帰宅している。 A「だって・・・」 B「確かに、ちょっと冷たいよな。卒業するから別れるって」 彼の言葉に再び涙が溢れる。 私には一つ年下の彼氏がいた。 その彼氏に今日、『卒業したら会えなくなって辛いから別れる』と告げられた。 告白してきたのはあっちなのに・・・勝手すぎるよ。 B「・・・大丈夫だって。もっとずっと一緒に居てくれる人くらいいるんじゃね?あ、俺も探してやるからさ」 今日までの彼氏の事で、何度か相談に乗ってくれていた彼。 何の偶然か大学は同じ。実は結構心強かったりする。 A「・・・慰めてるつもり?」 B「え・・・そ、そうだけど・・・なんかごめん」 しかしいつも直ぐ弱気になってしまう。 ・・・そんないつもどおりの彼の態度に、ちょっと気持が安らいだ。 A「・・・もっと何か言えないの?『俺が代わりになってやる』とか、『俺が居てやるから安心しろ』とかさ?」 そう指摘すると、彼は困ったように頭を掻いた。 彼はそんな積極的な事言えないと思う。 もし言えるような性格だったら・・・惹かれちゃってるかもしれないから。 B「いや・・・それ、次言おうと思ってたんだけど・・・先言われちまったな・・・」 思わず目を見開く。彼は照れくさそうに顔を反らしている。 少しして、真っ直ぐ私に目線を向ける。 B「・・・俺なら、ずっと傍に居るからさ・・・我慢してくれよ」 ・・・このタイミングで言うなんて、ずるいような気もするけど・・・。 我慢ってなによ。 ・・・彼は深く考えてないんだろうな。 ただ私の事を考えて今言ってくれたんだよね。 A「・・・付き合わなくてもいいなら我慢する」 B「・・・うん、それでいいよ・・・」 私の提案に、彼は妥協してくれた。 まぁ・・・私は押しに弱いからなぁ・・・。 かなり心が軽くなり、安心させてくれた彼に微笑んで見せる。 対して、この先ずっと傍に居てくれる事になる彼は苦笑いを見せた。 これで、私の卒業式は終わり。大学の卒業式では泣かないと思う。 大切な人と別れる必要なんて、もう無いから。
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