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その日も僕は、深夜テレビを見ながら、PCでネットをやっていた。まだ27歳。いまだに親の元で生活しているダメ人間。もちろん友達もいない。親以外、誰ともつながりがないまま、今日も夜更かしをしていた。
「バカ野郎」
僕はビックリしたと同時に固まった。。ここは僕の部屋。僕以外誰もいない。しかし呟くような声は、座っている僕の後ろ、頭の上から聞こえた。
幽霊・・・?
あまりの恐怖に僕は後ろを振り向けない。
「ビビッてんじゃねえ、俺だ俺。」
やけに馴れ馴れしい、僕に似た声。僕は恐る恐る、後ろを振り返った。
見知らぬオッサンが立っていた・・・。
「だ、誰?。泥棒?」
僕は混乱して言った。一体誰なんだよ、このオッサン。
「バカ、泥棒でもねぇ。よーっく見ろ、俺は未来から来たお前だ。42歳のお前の姿だ。」
何を言ってるんだこのオッサン。この冴えないオッサンが42歳の僕?。そんなバカな。未来の僕はこんなダメな感じなのか!。
「残念だが、これが現実だ。」
きわめて普通にオッサンは言った。
「現実って、証拠はっ!」
僕が言うと、オッサンが言った生年月日、ここに引っ越して来る前の住所、誰にも言ってない小学生のときの初恋、中学生のときの好きだったクラスメート、高校生のときの片思い、全部合っていた。誰にも知られていない、身体のある部分の特徴も知っていた。
こんなダメな感じのオッサンが未来の僕だなんて・・・。
「未来からって、どうやって、一体何しに・・・」
と僕が言うとオッサンは、未来から来た方法は言えないと言う。そしてオッサンの目的は、僕を未来へ連れて行くことだそうだ。未来の僕の姿を見せたいのだ、と。
未来から来た僕だというオッサンは、かなり冴えない。不安だ。一体、未来の中年になった僕は、どんな生活をしているんだ?。何の仕事をして、結婚とかはしていないのか?。いいイメージが全く浮かばない。
そんなことを考えていると、急にオッサンが手を握ってきた。
「わ!キモッ、なん?か、。」
僕がそう言って、戸惑っていると
「手を離すな、これから未来へ行く。」
オッサンはそう言った。
「え!いきなりっ」
僕が言ったそのときにはもう、そこは見知らぬワンルームの部屋だった。
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