ヤマアラシⅠ

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ヤマアラシⅠ

   また、ひとを刺してしまった。  僕のこころに生えている無数の針が、また暖かいひとのこころを突き刺してしまった。  傷付けたかったわけでも、傷付いたわけでもない。  ただ怖かったんだ。近くに寄られるのが怖かったんだ。  君みたいなひとに、無数の針で隠した醜い僕のすがたを見られるのが怖かったんだ。  ……。  だから離れて。近寄らないで。あっち行って。  これ以上、僕に干渉しないで。  僕を孤独に戻して。  夜の繁華街を引き返しながら、独り、狼狽える。  
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