1.始まりの春

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俺が油断してたんだよ。そんなことはわかってる。 でも、信じてたんだ。 だってさ。 ずっと優しくしてくれてた。 何かあれば、話を聞いてくれた。 兄貴みたいに思ってたんだぜ。 それなのに。 『・・・ック、動くなっ!』 あいつは、俺の腕を縛り上げて、何かの布で口を覆って声が出ないようにした。 『ウー!ウウウウウー!』 何をされるのか、怖くて、声を出そうとしてるけど、布が声を奪う。 『オマッ、クソッ!』 逃げようともがいても、何度も捕まえられて。 あいつの唇が、身体のどこかに触れるたびに嫌悪感と吐き気が、俺の身体を蝕んでいく。 涙がボロボロと落ちていく。 涙が布にしみこんでいく。 それなの、あいつは。 ベルトに手をかけて、バックルを外そうとした。 『!!!ウ―!ウーーーーーーッ!!』 ガタッ! 閉じ込められていた場所・・・体育館そばにあった用具室のドアが開いた。 白い光の中に、一人の黒い影・・・。 『要(カナメ)!・・・お前、何してんだよっ!』 あ・・・ああ、柊翔(シュウト)。たすけ・・・て。 そして、俺の意識はは暗闇に消えた。
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