1.始まりの春

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_____ ________ _____________ 薄く白っぽいピンクの桜の花びらが風に舞っている。 校門近くの桜並木から、いつ止むとなく降ってくる。 春は好きになれない。 ゆるゆるとした上り坂をのぼりきると、これから通うことになる美桜台(ビオウダイ)高校の校舎が見えてきた。 俺と同じようにこれからこの学校に通う同級生。そしてその親らしき大人たち。それが、ぞろぞろと校門の中に入っていく。 俺も、本当だったら、親父が一緒に来てくれるはずだったけど、急な出張で行けなくなり、母も、ずっと入院しているから、一人で来ることになってしまった。 一人でいることには慣れているから、あまり気にならなかったけれど、人の楽しそうな様子を見ると、少しだけ寂しい気持ちが湧いてくるのは、どうしようもない。 小さくため息をつきながら、校門に入ると、 「要」 優しく、俺の名前を呼ぶ人がいた。
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