Act.3

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「マニ割りはさ、アクセル踏むとバタバタ叩くような音がして、離すとヒュルヒュルって独特の音が鳴るように改造したマフラーの事。 不動さんのはマニ割りしてなかったけど、真尋さんのはいい音してたろ」 「……いい音……なの?」 「いい音だよ。 あれってさ高圧縮比のディーゼルエンジンだからこそ出来る改造なんだよ。 エンジンから排出された燃焼ガスがマフラーから排出される過程で、まずはエキゾーストマニホールドって部品を通って来るんだ。 で、マニホールドの比率を改造するからマニ割りっていうの」 「……ふぅん……」 「じゃちょっと行ってくる」 嬉しそうにスマホを手に事務所を出て行く誠也の姿に、私はたまらなく胸が痛くなった。 誠也に片思いしていた期間まで入れたらもうじき3年半。 そんな長い時間、彼を見つめて来たくせに私は誠也のことを何も知らなかったんだなって痛感したからだ。
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