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ロッカーからバッグを取り出した私は、財布から3000円を取り出して誠也に歩み寄った。
「これ……出してもらった私の分」
突き出したお金に誠也はクスッと笑うと、その手をギュッと握りしめる。
そして掴んだ手を自分の口元に引き上げると、折り曲げた指の隙間を舌先でペロリと舐めた。
「ちょっ……」
「金は欲しくないけど、今すぐ遥香が欲しい」
「……何言ってん……」
「なんかさっき倉庫の方で聞いたけど変な噂が流れてるらしいね。
だけど俺、佐俣さんと付き合ってなんかいないから」
「……えっ?」
思わず聞き返した私の耳元で誠也は囁いた。
「遥香は俺と佐俣さん、どっちの言うことを信じる?」
「……それはっ……」
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