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「大和って金髪なんかにしてるから若そうに見えるでしょ。
だけどもう今年で30歳だから」
「えっ?じゃあ俺よりひとつ年上なんだ!
ちょっとビックリ」
「あはは! でしょ?
これでもうちょっと口が達者なら絶対モテると思うんだけどねぇ」
笑顔で誠也と会話を交わす真尋さんの横で、相変わらず口を閉じたまま受付用紙の記入を終えた彼は、私に用紙を差し出した。
「あ……えっと、じゃあ不動さんは3番のターミナルから荷物が出ますので……」
「はい」
構内の案内図をプリントアウトしたものを差し出すと、彼はそれを受け取り事務所を出て行ってしまった。
「ホントごめんなさいね、愛想笑いのひとつも出来ない男で」
申し訳なさそうに言った真尋さんは、きっと彼の女房役みたいな存在なんだろう。
いや、もしかしたら大和さんの彼女なのかもしれない。
そう思ったら胸の奥に微かな痛みを感じた。
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