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その夜は誠也は私をアパートの前でおろすと、家には寄らずに帰って行った。
それに心のどこかでホッとしながら、ベッドに横たわって瞼を閉じる。
不動大和と出会ってまだ3日しか経っていないのに、こんなにも急激に彼に惹かれてしまうなんて思わなかった。
きっと私は誠也から離れることが出来ないまま、年を重ねて行くのだろうとずっと思って来たけれど。
つい2時間前まで一緒にいたというのに、もう彼に会いたい気持ちが募る。
思わず携帯を手に取り、待ち受けにしてあるクマのキャラクターの飄々とした表情を見つめながら考えた。
頭の中に完全にインプットされている彼の携帯番号。
いきなり電話なんてしたら驚くだろうな。
だけど……今日の御礼とか?
大和さんのくれた言葉のおかげで、私は変わろうと思えたのは事実だし。
……なんて、番号を教えて貰った訳でもないのにいきなり電話なんてしたらまるでストーカーだ。
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