314人が本棚に入れています
本棚に追加
「大和さん」
「うん」
「昨日はごめんなさい」
「…………」
「だけど私はもっと強くなりたいから、ちゃんと……けじめをつけようと思います」
「…………」
黙ったまま私を見おろす大和さんに、満面の笑みを見せてから頭を下げてその場を後にした。
今日こそ誠也との関係をちゃんと終わらせよう。
そう心に決めて私は中央階段の下のドアを開けた。
そこから見えた空はどこまでも青く澄んでいて、思わず私は深呼吸する。
空気が美味しいと言いたいところだけれど、ここはディーゼル車特有の排気ガスの香りが充満している。
それでも幸せな気分で深呼吸を繰り返した自分が無性に可笑しくて、微笑しながら私は事務所へと足を進めた。
最初のコメントを投稿しよう!