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翌日、ようやく入庫トラックが落ち着き始めた午前10時半。
事務所の前に停車したトラックから降りて来た大和さんの姿に、私の鼓動が激しさを増す。
どんな顔をして話したらいいのだろう。
カウンターの正面に見える大和さんから視線を逸らして、意味もなくパソコンの画面を食い入るように見ていると、事務所のドアが開いた。
「お疲れ様です。横浜2便目の出庫をお願いします」
ここは職場で当然のことなのに、まるで何もなかったように冷静な表情で要件を言った大和さんに落胆する自分がいる。
けれど大和さんにしてみたら、所詮その程度のことなのだ。
意識しているのは私だけで、彼にとっての私はあくまでも被害者の家族でしかない。
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