Act.9

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いつも通りに中央付近の扉から倉庫に入り、向坂部長の姿を探す。 倉庫の中ではほとんどのフォークリフトはカウンターフォークという一般的なフォークリフトだけれど、向坂部長が乗っているのはプラッターと言って、立ったまま動かすフォークリフトだ。 カウンターは重量物を運ぶには適しているけれど、後部に荷重があるため小回りが利かない。 そのため、カウンターでは荷扱いを行いにくい倉庫の奥の狭い場所では小回りが利くプラッターというフォークリフトの方が便利なのだ。 しかし、カウンターと違ってプラッターを動かすにはそれなりの技術がいる。 そのため、基本的には向坂部長とその厚い信頼を得られたフォークマンしかプラッターには乗せて貰えない。 今思えば、誠也はあの若さで向坂部長から厚い信頼を得て、プラッターに乗っていたのだから、女子社員から絶大な人気までをも得たのは当然だったのかもしれない。
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