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驚いて振り返ると、私の腕を掴んだまま佐俣さんが問いかけて来た。
「阿部さん、さっきの話、聞いていたんでしょう？」
「えっ？ な、何の話？」
さすがに聞いていましたなんて言えなくて、惚けてみるけれど佐俣さんには全てお見通しのようだった。
「あのさ……もう阿部さんと糸井さんって別れたんだよね？」
「どうしてそんなことを私に聞くの？」
「それはこっちが聞きたいわよ。どうして別れたのに糸井さんはいつも阿部さんを庇うの？」
「庇うって……どういう事？」
意味が解らず問いかけた私に、佐俣さんは呆れたようにため息を吐き出すと、ようやく掴んでいた私の腕を離した。
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