Act.11

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「阿部さんは俺に謝るようなことは何もしてない。 謝るのは俺の方だから」 その言葉の持つ意味に強烈な痛みが胸を締め付けた。 これが不動大和という人の考え方なのだ。 どんな小さなことであろうと悪いのは自分で、私は彼にとって永遠に被害者でしかない。 たとえば私が誰かを殺しても、この人は自分がやったと言って私を庇うはずだ。 彼の笑顔を取り戻すことが出来るのは、やはり私ではないことを痛感した。 頭ではそんなことはとうに分かっているつもりなのに、どうしてこんなにも悲しいのだろう。
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