Act.12

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「阿部さん……」 「私のことを好きになってくれなんて言いません。 ただ……あなたにも過去の傷から歩み出して欲しいだけなんです。 もう許すとか許さないとかそんな次元ではなく、お互いが幸せになるためにそうするべきだって思いませんか?」 泣きながら訴え続ける私を見つめる彼の瞳がゆらゆらと揺れている。 恥ずかしいほどに止まらない涙もそのままに私は彼に思いの全てをぶつけた。 「あなたが幸せになろうとしないなら……私は一生幸せだと思えることはないと思います。あなたが加害者でいる間は、私もずっと被害者の家族ですから」 「…………」 何も反論することなく、だた無言で私を見下ろす彼に願う事はただひとつだ。
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