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後ろ髪を引かれる思いを抱きながら、私が運転席に乗り込もうとした瞬間だった。
私の腕を彼が力強く引く。
それに驚いて目を見開いたのと、彼の胸の中に包み込まれたのはほぼ同時だった。
突然の彼の行動に、私の思考が追いつかない。
けれど耳に響いた彼の声が微かに震えていることだけは分かった。
「……ごめん……」
「…………」
「だけど……ありがとう」
「大和さん……」
私を見下ろした大和さんは、両手で私を自分から引き離すとそのまま車の運転席へと座らせた。
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