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「気を付けて帰って」
「……はい」
何故彼が私を抱きしめたのかは分からない。
だけどドアを閉じた車の窓ガラスの向こうにあるのは、真尋さんの車にあった写真と同じ彼の笑顔だった。
「……笑った……」
思わず呟いてしまった私にやんわりと微笑みながら頷いた彼は、自分のトラックへと乗り込んでエンジンを掛けた。
本音を言えば彼にどうして私を抱きしめたのかを聞きたいけれど、彼はこれから横浜に向かって走らなくてはならない。
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