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「車の運転もフォークリフトの運転も同じだよ。自分が起こした事故を忘れることなんて出来ないし忘れちゃいけないものだと思ってる。だから俺は現場を離れることで己の運転技術に天狗になっていた自分を見つめ直したかっただけ」
冷たく言い放った誠也は、更衣室を出て行く。
それを黙ったまま見つめていた佐俣さんの瞳が私へと移動して問いかけて来た。
「ねぇ、阿部さん。不動さんと糸井さんって仲がいいの?」
「えっ?」
「だって糸井さんが阿部さんのためにフォークを降りたって話は、私は不動さんにしかしてないんだけど」
「……分かりません」
「なんかムカつくなぁ」
不機嫌に言い放った佐俣さんも更衣室を出て行く。
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