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その様子に慌てて椅子から立った誠也がカウンターの向こうへと出て行く。
「真尋さん、どうしたの?」
「うっ……誠也っ……」
ポロポロと涙を溢れさせ、縋るように言った真尋さんのただならぬ様子に事務所の中が緊迫に包まれる。
「泣いてないでしっかりして! 何があったの?!」
誠也の問いかけに何度か深呼吸を繰り返した真尋さんが震える声で告げた言葉に、私も誠也も呆然とすることしか出来なかった。
皆が幸せになれる日がいつかきっと来ると信じていた私の希望は無残に打ち壊されて行くのだろうかと思えてしまうほどに……。
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