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「章吾が……章吾が事故って……意識不明の重体で長野の病院に運ばれたって……」
喉の奥から絞り出すように真尋さんが言った瞬間、事務所のドアが開いて春日さんが入って来る。
そして床に崩れ落ちたままの真尋さんを悲しそうに見つめると優しく肩に手を置いて言った。
「真尋、今日は父さんが横持ちをするからすぐに宇梶君のところに行ってあげなさい。
お前はプロドライバーなんだから一人で車を運転して行けるよな?」
「……お父さん……」
「本来ならプロドライバーたるもの、仕事を投げ出して行くのは最低なことだ。だから今だけはプロドライバーのプライドを捨てろ」
「…………」
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