Act.12

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「今日、佐俣って女が言っていた。 糸井さんも俺も、どうして阿部さんを庇うのか理解出来ないって」 「…………」 「だから俺はあの女にカマかけるつもりで言ってみたんだ。 糸井さんが阿部さんを庇うはずはない、あの人は身体だけが目的で阿部さんを手放さないズルい男だろって」 誠也がそれだけではないことを大和さんは分かっていながら、あえてそういう言い方をしたのだろう。 たとえ向坂部長との関係を持っていても佐俣さんが誠也を好きであることには変わりない。 いくら佐俣さんが卑怯な女だったとしても、好きな男のことを悪く言われたら黙ってはいられないはずだ。
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