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事務所のガラス越し、運転席を降りた大和さんの姿が見えたと同時に私の隣で佐俣さんが呟く。
「来た! 不動大和だ」
ゆっくりと事務所へと歩み寄って来る大和さんを、佐俣さんの鋭い瞳が捕えている様子で私の中に嫌な予感が走ったその時だった。
すっと席を立った誠也がカウンターの向こうへと歩みを進めると事務所のドアを大和さんより先に開いて言葉を投げつけた。
「不動さん、宇梶さんの事故のこと聞いてんだろ?」
「聞いてる」
「だったら仕事なんてしてないで今すぐ病院行けよ。ガキの頃からの親友が生死の境を彷徨ってるかもしれないのに何やってんだよ」
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