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「だから横浜2便は俺が走るから配車変更しなくていい」
言い切った大和さんは、カウンターにある出庫受付用紙に記入を済ませるとカウンターの中から睨み続ける佐俣さんにそれを差し出した。
けれどその様子を無言で見つめていた誠也が小さく肩を震わせながら呟く。
「アンタ……本当にそれでいいのかよ……」
「…………」
「もしもこれで宇梶さんに何かあったら……一生後悔するかもしれないんだぞ」
誠也が今、どんな思いで大和さんにその言葉を言っているのか私には痛いほど伝わって来た。
私も誠也も親を事故で失ってからずっと心の中で抱え続けた思いだからだ。
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