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「そうかもしれないな。だけどそれが俺たちの仕事なんだ。
預かった荷物を確実に運ぶこと。荷主の信用を裏切らないこと。
二度と……被害者を作らないこと」
大和さんが放った言葉で誠也の眉がピクリと揺れる。
けれど誠也は小さくため息を吐き出すと私を見つめて言った。
「阿部さん、今日の入庫はいつもより25トン多い程度なんだ。
これくらいの荷物の量だったら……俺がフォークで積み上げれば倉庫に入り切る。
そうすれば不動さんが2便走る必要はない。だから今日の横浜便は1便だけにしてくれ」
「糸井君、何を言ってるの? 向坂部長の意見も聞かないで勝手なことを言ったら……」
誠也の提案を慌てて止めようとした佐俣さんを彼は遮って言葉を続けた。
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