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「……それで佐俣さんは、何て言ったんですか?」
聞きたくないと心では思っていても、ここから逃げることも出来ない。
覚悟を決めた私は街の灯りからゆっくりと大和さんに視線を移した。
それに応えるように彼の瞳もゆっくりと私を捕え衝撃的な言葉を落とす。
「糸井さんは阿部さんを守るためにフォークリフトを降りて事務所に入ったって。自分の地位よりも阿部さんを守ろうとするような人のどこがズルいのかって反論して来た」
「えっ?」
「倉庫での事故をきっかけにフォークリフトを降りたって表向きにはなってるらしいけど、向坂部長は糸井さんをフォークから降ろすつもりはなかったそうだ」
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