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私の喉を締め付けるのは、5年間抱き続けたタチバナヤマトへの憎しみなのか、それとも初めて知った誠也の深い思いだったのかは分からない。
けれど、途切れてしまった言葉をどうしても伝えたくて、微かに震えながら呼吸しようとした私の唇に彼の指が優しく触れた。
「それ以上は言ったらいけない」
「……っ……」
「たとえ何年経とうと、俺が阿部さんの父親を殺した事実は消えないんだ」
そんなことは分かっている。
だけど、私が好きになったのはタチバナヤマトじゃなくて、今を生きる不動大和だ。
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