Act.14 Side Yamato

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彼女の父親が俺に託したあの思いは、俺が伝えずともきっと彼女は理解しているに違いない。 昨夜の彼女の笑顔を見る限り、もう過去に囚われ苦しんでいるとは思えなかった。 頭の中でそんな思考を巡らせながら、急いで洗車を終わらせる。 「真尋、そろそろ積み込み行くぞ」 「うー、下まわりの洗車出来なかったぁ」 「俺もまだやってねぇし。まぁ積み込みから帰ったら続きの洗車すればいいだろ」 「まぁそうなんだけど……」 綺麗好きな真尋にしてみたら、こんな中途半端に洗車を切り上げるのは納得行かないのだろう。 しかし俺は一刻も早く積み込みを終わらせ、彼女の前から消えたいと思っていた。 抜け出せない泥濘に落ちたのが、自分自身だったことにまだ気づけぬまま───。
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