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そんなことを考えながら事務所を出ようとした俺の背中に彼女の声が呼びかける。
「あのっ! 明日、直接でいいです!」
振り返った俺の目には、相変わらず縋るような彼女の瞳が映り込んだ。
大丈夫。俺が君を……守るから。
その思いは全く別の言葉に変えて彼女に言った。
「ありがとう。じゃあ明日よろしく」
ゆっくりと閉じたドア。
トラックに向かう俺の背中に感じる彼女の視線。
きっとここから先は今まで以上に地獄のような苦しみが待っているのだろう。
けれど俺は……もう逃げたりしない。
そう己に誓ってから俺はトラックへと乗り込んだ───。
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