Act.15 Side Yamato

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「そうすることで、君もそこから歩み出せる気がする」 「…………」 「向坂部長が不動君をとても気に入ったそうだよ。 たぶん俺の勘だと横浜定期の仕事を専務に組ませて、それを不動君にお願いするつもりかもしれない」 「横浜……定期ですか」 「不動君も、もう30歳だろう。 そろそろ安定した仕事を見つけないと、これから先の運送業界はもっと厳しくなる。 長距離を走れるのもいいとこあと10年だ。40歳過ぎるとさすがに長距離もキツくなるぞ」 確かにトラックドライバーの大先輩であるおやっさんの言葉だけに、間違いはない。 今はまだ若さと気力で過労であっても乗り越えられるけれど、あと10年先、俺は今と同じように走り続けることが出来るだろうかと考えたら、それはかなり厳しいものがあると思う。
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