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あの笑顔を壊したくない。
けれどそれ以外に俺の中にあるこの感情はいったい何なのだろう。
恋とも違う、事故の罪悪感とも違う。
だけど……確実に俺の心を彼女の存在が占拠して離れない。
いや、それは今に始まった事ではないはずだ。
『事故の補償は保険から出ましたし、被害者の奥様も示談金に承諾してくれたので実刑は免れましたよ』
あの事故の後、弁護士に告げられた時からずっと俺は被害者の娘はそれで納得したのだろうかと疑問に思っていた。
夫を亡くした妻の立場を考えれば、最終的には夫の亡き後、自分たち家族が生きるために必要な金はとても大切だ。
だから弁護士と保険会社が提案した示談金に納得した彼女の母親は当然のことをしたまでだと思う。
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