Act.15 Side Yamato

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けれど娘の立場で考えたら、父親の命を金に変えられてしまったのと同じ事。 まさか自分を助けてくれた相手が、橘大和だったなんてことに気づいたら、彼女自身が壊れてしまう気がして怖い。 「東門の守衛で入門証を貰って、その先にプレハブの事務所があるからそこで受付してから裏側のターミナルにケツ付けしてバラ積みだってさー」 無線から聞こえた真尋の説明は、要するに加賀美流通倉庫で積む荷物はトラックの後方からの積み込みで荷物をひとつひとつ手で積む仕事ということだ。 けれどそれすらも虚ろに聞きながら、俺は加賀美流通倉庫に入って行く真尋に続いた。 彼女がこの倉庫のどこで仕事をしているのかは分からないが、少しでも早くここから去れば遭遇する可能性が低くなるかもしれないなんて思いながら。
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