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しかし罪を犯した俺に、神はどこまでも残酷だと思った。
プレハブ事務所の前でトラックを止め運転席から降りた俺の目に映った光景に一瞬息を飲む。
何故なら真尋の背中の向こうから呆然とこちらを見つめる彼女の姿があったからだ。
ダメだ。俺はもうこの人の人生に絡んではいけない。
必死にそう自分に言い聞かせながら、真尋と彼女に歩み寄る。
「大和、アンタ煽り過ぎだっつーの」
車間距離を詰められたことにまだ憤慨している真尋が不満を漏らしながらも笑った。
その間も彼女の視線は、しっかりと俺を捕えて逃さない。
それから逃れるかのように真尋の頭を弾いて無言でその場を後にした。
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