Act.17 Side Yamato

37/39
325人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「嫌なものは嫌って言えるようになれ。じゃないと自分が傷つくだけだ。曖昧な関係で得をするのは男だけだぞ」 俺の言葉に彼女はきつく唇を噛み、拳を握りしめる。 言葉に詰まったまま俯く彼女と、テーブルの方から突き刺さる誠也の視線にこれ以上はマズイ気がして、俺はトングを彼女の手に握らせた。 「肉盛り付けて。あまり長い時間掛けるとまた糸井さんが嫉妬する」 糸井という名に過剰な反応を示した彼女が顔をあげ俺を見つめる。 その瞳が、どうしても助けてと言っているように見えて俺はまたおかしな衝動に駆られた。 必死にそれを振り切り、彼女が盛り付けた肉の皿を真尋たちの元へと運ぶ。 「あ、大和ありがと。ほら、誠也ももっと食べなよ」 「ああ、うん。不動さん、ありがとうございます」 わざとらしく礼を言った誠也に返事をしないまま俺は再び彼女の元へと戻った。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!